原文はこちら。
https://blogs.oracle.com/linuxkernel/using-rds-with-ipv6-networks
RDSとは、Oracleが開発し、Linuxカーネルに寄贈したオープンソースのReliable Datagram Socketsプロトコルです。カーネル開発者のKa-Cheong Poonが、RDSをipv6対応させるための彼の作業をまとめています。
現在、RDSはIPv4アドレスを使用するピア間でしか動作できません。IPv6が世界中で普及しているので、IPv6アドレスを使用するピア間でRDSを動作させる必要性がますます高まっています。その要求に対応するため、Oracle Linux RDSをアップデートし、IPv6をサポートするようにました。この記事では、RDSを利用するC言語で書かれた既存のアプリケーションを、IPv6をサポートするように変更する方法について説明します。基本的なIPv6 APIについては、RFC 3493を参照してください。RFC 4291では、IPv6アドレス指定アーキテクチャについて説明しています。また、rds-toolsパッケージもアップデートして、IPv6をサポートするようにしました。いくつかの使用例もご紹介します。
ピアと通信する前に、まずRDSソケットをバインドする必要があります。これは以下のように行います。
(これで)アプリケーションは、以下のようにピアと対話できるようになりました。
まとめると、IPv6アドレスを使用するようにRDSアプリケーションを変更するには、IPアドレスを格納するために使用されるソケットアドレス構造とそのソケットアドレス構造を格納するために使用するコードを変更する必要があります。 アドレス構造体を変更すると、他のソケット呼び出しはすべて以前とほぼ同じです。
以下のように、rds-pingを使って両ホスト間のIPv6でのRDSの到達可能性をテストできます。
https://blogs.oracle.com/linuxkernel/using-rds-with-ipv6-networks
RDSとは、Oracleが開発し、Linuxカーネルに寄贈したオープンソースのReliable Datagram Socketsプロトコルです。カーネル開発者のKa-Cheong Poonが、RDSをipv6対応させるための彼の作業をまとめています。
現在、RDSはIPv4アドレスを使用するピア間でしか動作できません。IPv6が世界中で普及しているので、IPv6アドレスを使用するピア間でRDSを動作させる必要性がますます高まっています。その要求に対応するため、Oracle Linux RDSをアップデートし、IPv6をサポートするようにました。この記事では、RDSを利用するC言語で書かれた既存のアプリケーションを、IPv6をサポートするように変更する方法について説明します。基本的なIPv6 APIについては、RFC 3493を参照してください。RFC 4291では、IPv6アドレス指定アーキテクチャについて説明しています。また、rds-toolsパッケージもアップデートして、IPv6をサポートするようにしました。いくつかの使用例もご紹介します。
RDS Wire Specification 3.1RDSのIPv6サポートは、アプリケーションに対する最小限の変更でIPv6をサポートするよう設計されています。前述のように、次の呼び出しはRDSソケットを作成します。
https://oss.oracle.com/projects/rds/dist/documentation/rds-3.1-spec.htmlState of IPv6 Deployment 2017
https://www.internetsociety.org/resources/doc/2017/state-of-ipv6-deployment-2017/Basic Socket Interface Extensions for IPv6
https://tools.ietf.org/html/rfc3493IP Version 6 Addressing Architecture
https://tools.ietf.org/html/rfc4291
作成されたソケットは、IPv4またはIPv6アドレスを使用しピアとの通信に使用できます。これは、ソケットが作成時にアドレスファミリの指定が必要なTCPソケットとは少し異なります。では、いつこのRDSソケットをIPv6 RDSソケットに変更するのでしょうか?この説明の前に、アドレス処理の説明を簡単にするために、以下のような共用体を定義しましょう。int sd;
sd = socket(AF_RDS, SOCK_SEQPACKET, 0);
この共用体は、IPv4アドレスまたはIPv6アドレスのいずれかを格納するために使用できます。アプリケーションがユーザーが提供するローカルアドレスでユーザーが提供するピアアドレスと通信する必要がある場合、次のコードを使って提供されたバッファーを解析できます。union sockaddr_ip {
struct sockaddr_in addr4;
struct sockaddr_in6 addr6;
};
getaddrinfo(3)関数は、IPv4とIPv6の両方のアドレスを認識し、正しい情報でアドレスを埋めます。char *user_suuplied_laddr, *user_supplied_paddr;
struct addrinfo *ainfo;
union sockaddr_ip local_addr, peer_addr;
socklen_t local_addrlen, peer_addrlen;
if (getaddrinfo(user_supplied_laddr, NULL, NULL, &ainfo) != 0) {
/* Error handling code */
} else {
/* Just use the first one returned. */
local_addrlen = ainfo->ai_addrlen;
memcpy(&local_addr, ainfo->ai_addr, local_addrlen);
freeaddrinfo(ainfo);
...
}
if (getaddrinfo(user_supplied_paddr, NULL, NULL, &ainfo) != 0) {
/* Error handling code */
} else {
/* Just use the first one returned. */
peer_addrlen = ainfo->ai_addrlen;
memcpy(&dst_addr, ainfo->ai_addr, peer_addrlen);
freeaddrinfo(ainfo);
...
}
/* The following checks for address family mismatched. Note that the
* address family field of all socket address structures are at the same
* position. Hence we can use sin_family to do the check.
*/
if (local_addr.addr4.sin_family != peer_addr.addr4.sin_family) {
/* Error handling code */
}
ピアと通信する前に、まずRDSソケットをバインドする必要があります。これは以下のように行います。
ユーザーがIPv4アドレスを指定した場合、RDSソケットはIPv4 RDSソケットになり、ユーザーがIPv6アドレスを提供した場合、RDSソケットはIPv6ソケットになります。したがって、RDSソケットのファミリはバインド時に決まります。また、RDSソケットは一度しかバインドできないことにご注意ください。(そのため) 2回目のbind()は失敗します。これは、一度RDSソケットのアドレスファミリを設定すると、変更できないことを意味します。また、RDSソケットは同じファミリのピアとしか通信できません。これは上記のアドレスファミリーのチェックで不一致になる理由です。if (bind(sd, (struct sockaddr *)local_addr, local_addrlen) != 0) {
/* Error handling code */
}
(これで)アプリケーションは、以下のようにピアと対話できるようになりました。
アプリケーションが同じソケットを使い別のピアと通信することもできます。 新しいピアアドレスがバインドされたアドレスと同じファミリでなければならないことに注意してください。前述のように、getsockname()を使用してソケットにバインドされたアドレスを取得できます。char *msg;
size_t msg_len;
if (sendto(sd, msg, msg_len, 0, (struct sockaddr *)peer_addr, peer_addrlen) < 0) {
/* Error handling code */
}
ソケットがまだバインドされていない場合、返されるアドレスファミリはAF_UNSPECです。これは、アドレスがバインド済みか否かの判断に使用できます。ソケットはIPv4アドレスまたはIPv6アドレスのいずれかにバインドできるため、ここではユニオンsockaddr_ip共用体の使用に注意してください。union sockaddr_ip ipaddr;
socklen_t addrlen;
if (getsockname(sd, (struct sockaddr *)ipaddr, &addrlen) < 0) {
/* Error handling code */
}
まとめると、IPv6アドレスを使用するようにRDSアプリケーションを変更するには、IPアドレスを格納するために使用されるソケットアドレス構造とそのソケットアドレス構造を格納するために使用するコードを変更する必要があります。 アドレス構造体を変更すると、他のソケット呼び出しはすべて以前とほぼ同じです。
rds-tools package
rds-toolsパッケージには、rds-info、rds-ping、rds-stressという3つのツールが含まれており、これらもIPv6をサポートするようにアップデートされています。以下はその使用例です。rds-ping
ホストAではそしてホストBでは[host-a]> ip addr show ib0
9: ib0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 2044 qdisc pfifo_fast state UP qlen 4096
link/infiniband 80:00:02:08:fe:80:00:00:00:00:00:00:00:02:c9:03:00:0a:79:fd brd 00:ff:ff:ff:ff:12:40:1b:ff:ff:00:00:00:00:00:00:ff:ff:ff:ff
inet6 2010:211::12/64 scope global
valid_lft forever preferred_lft forever
inet6 fe80::202:c903:a:79fd/64 scope link
valid_lft forever preferred_lft forever
であると仮定します。[host-b]> ip addr show ib0
6: ib0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 2044 qdisc pfifo_fast state UP qlen 4096
link/infiniband 80:00:02:08:fe:80:00:00:00:00:00:00:00:02:c9:03:00:0a:75:a5 brd 00:ff:ff:ff:ff:12:40:1b:ff:ff:00:00:00:00:00:00:ff:ff:ff:ff
inet6 2010:211::22/64 scope global
valid_lft forever preferred_lft forever
inet6 fe80::202:c903:a:75a5/64 scope link
valid_lft forever preferred_lft forever
以下のように、rds-pingを使って両ホスト間のIPv6でのRDSの到達可能性をテストできます。
fe80::202:c903:a:75a5 はホストBのIPv6リンクローカルアドレスです。リンクローカルアドレスはインターフェイスに関連付ける必要があるため、アドレスの後に%ib0(またはこの場合は%9)を配置して、ib0を使用してそのリンクローカルアドレスに到達するように指定する必要があります。 ホストBからも可能です。[host-a]# rds-ping fe80::202:c903:a:75a5%ib0
1: 160 usec
2: 155 usec
...
この例では、ホストAのグローバルアドレスをテストしています。IPv6グローバルアドレスの場合インターフェースを指定する必要はありません。[host-b]# rds-ping 2010:211::12
1: 162 usec
2: 153 usec
...
rds-info
rds-infoのデフォルト出力には変更ありません。これは、下位互換性を保つためにIPv6接続情報がデフォルトで表示されないことを意味します。IPv6接続情報を表示するには、「-a」オプションを使用します。 このオプションで、IPv4とIPv6の両方の情報を表示します。rds-pingの例を引き続き使用することにしますが、ホストAで上記を行った後、rds-infoを使用してRDSの接続状態を確認できます上図は、ホストAに2つのRDS接続があることを示しています(1つはホストAとBのグローバルアドレス間の接続、もう1つはホストAとBのリンクローカルアドレス間の接続)。InfiniBandインターフェイスを使用しているため、2つのIB接続もあります。IPv6情報のみが存在するため、"-a"オプションを指定しないと何も表示されません。[host-a]# /tmp/rds-info -Ina
RDS IB Connections:
LocalAddr RemoteAddr Tos SL LocalDev RemoteDev
2010:211::12 2010:211::22 0 0 fe80::2:c903:a:79fd fe80::2:c903:a:75a5
fe80::202:c903:a:79fd fe80::202:c903:a:75a5 0 0 fe80::2:c903:a:79fd fe80::2:c903:a:75a5
RDS Connections:
LocalAddr RemoteAddr Tos NextTX NextRX Flgs
2010:211::12 2010:211::22 0 5 5 --C-
fe80::202:c903:a:79fd fe80::202:c903:a:75a5 0 11 11 --C-
rds-stress
アドレスオプション "-s"と "-r"で、IPv6アドレスをとることができるようになりました。 以下は利用例です。アップデートされたrds-stressは新旧rds-stressのいずれとも通信できます。[host-a]> rds-stress -r 2010:211::12
waiting for incoming connection on 2010:211::12:4000
accepted connection from 2010:211::22::41735
negotiated options, tasks will start in 2 seconds
Starting up....
...
[host-b]> rds-stress -r 2010:211::22 -s 2010:211::12
connecting to 2010:211::12:4000
negotiated options, tasks will start in 2 seconds
Starting up....
...